すべての市民と観光客は様々な経路・交通手段を使用して移動する。そして、どの経路・交通手段を取るかは、経路選択AIによって決定される仕様となっている。経路選択AIは市民の年齢によって異なるので4種類(子供・10代・大人・高齢者)あることになり、それぞれ重視する要素も異なる。そのため、同じ出発・到着地点でもそれぞれ異なる経路を選択することになる。
公共交通の利用率を上げたい・渋滞を効率的に解消したいというときに、この仕様を理解しているのとしていないのとでは大きく違う。AIの特性を理解し、より完璧な都市設計を目指そう。
目次
経路選択AIが重視する要素

経路選択AIが経路を決定するとき重要となる要素は
・移動にかかる時間
・移動にかかる費用
・経路の安全性
・快適性
・歩行距離
の5種類ある。目的地までの経路が複数ある場合には、経路選択AIが好む要素をより多く含んでいる経路が選択される。
移動にかかる時間
目的地に到着するためにかかる時間。時移動時間が短い方が評価が高く選択されやすい。バスの待ち時間・乗り換えによる時間ロス・渋滞による時間ロスも計算されているようで、交通事故が発生した場合には迂回路を通る選択をするなど、かなり高度な計算がされている。
バス・路面電車は移動のスピードが遅く、目的地周辺までしかたどり着くことができないため、評価が低くなりやすい。地下鉄や鉄道は移動スピードが速いため遠距離の移動では評価が高くなりやすい。しかし、こちらも目的地周辺までしかたどり着けないので、最寄り駅から目的地までの徒歩の時間が長いと評価はそこそこ。自家用車は目的地周辺に駐車場があればかなり評価が高くなる。そして、最も評価が高くなりやすいのは目的地に横付けできるタクシー。配車センターのアップグレードをしていると、出発地点にタクシーを呼べるので移動にかかる時間が最短レベルになる。

バスや路面電車は移動スピードが遅いため、比較的評価が低くなりやすい。ただし、専用道路やショートカットの経路を作成することで、移動時間が短くなった場合は優位になることができる。
移動にかかる費用

移動にかかるお金。安いほど評価が高い。徒歩が最も安く、公共交通は設定金額にもよるが安くなりやすい傾向がある。比較的高額なのが自家用車で、タクシーは最も高額となっている。
公共交通の移動コストはチケット代金で完全に調整でき、無料にもできる。タクシーの移動コストはタクシー初乗り料金で調整でき、自家用車は駐車場料金で調整できるが、どちらも移動距離と石油化学製品価格(ガソリン)に比例して追加のコストが発生する。当然移動距離が長いほど、石油化学製品の価格が高いほど、移動コストも高くなる。
経路の安全性

その経路が安全に通行することができるかどうか。経路の候補の中には横断歩道が無い道路を横断する・線路脇を歩く・車でUターンする・公共交通レーンを走行するといったルールを無視する経路が含まれている。これらのルールを無視する経路は移動時間が短くなるが、安全性が低い経路となる。後述にはなるが、大人の年齢層が最も重視しない要素であり、交通ルールを無視しやすいのも大人ということになる。
快適性

公共交通の乗り場やターミナルに設定されている値。快適性が高いほど評価が高いが、実感できるほどの差は生まれない。
歩行距離

歩行が必要な距離。歩行が必要な距離が短いほど評価が高い。自家用車とタクシーは出発地から目的地まで車で移動するので、最も評価が高くなりやすい。公共交通は駅やバス停まで行くとき、乗り換えするときに徒歩での移動が必要となるので評価が下がりやすい。
経路選択AI

経路選択AIは年代ごとに種類が異なるので子供・10代・成人・高齢者用のAIが4種類存在している。そのため、年齢が同じであれば同じような経路選択をし、子供から10代に成長したらAIも子供用のAIから10代用のAIに切り替わるという仕様。これらは観光客や移住者にも適用され、車に複数人乗っている場合は運転者のAIが使用される。
ただし、傾向は同じになるが全員が同じルートを取るというわけではない。あくまでその経路を取る確率が高いだけ。安い経路を好む10代がタクシーを使うこともあれば、移動時間を重視する大人が路面電車を使用することもある。
また、経路選択AIは一定の条件が整うと経路の再検索を行う。一定の条件については明かされてはいないが、経路上に渋滞が発生したとき・目的地となる駐車場が満車になったとき・到達不可能になったときに再建策が行われることがわかっている。
子供用経路選択AI

移動コストと安全性を最も重視する傾向にあるAI。
移動コストとは移動にかかるお金のことで、なるべく安い経路を選択する。無料の公共交通があれば積極的に利用する。逆に少しでもチケット代金が必要となると、長距離でも徒歩で移動することが多くなってしまう。子供の公共交通利用率を高めたい場合には、無料化するのが最も良い。
また、子供の経路選択AIは安全性も重視するので、無理な横断や危険な場所を歩かず交通ルールを守る傾向にある。横断歩道がなければ、無理やり渡ることもせず大回りをして危険を回避する。そのため、適当な都市設計をしてしまうと最も被害を受けやすい年齢層でもある。
子供AIだけの特性として、タクシーと自家用車を使用することができない。タクシーや自家用車に乗っているところを見ることもできるが、それは同乗者としてのみ。
行動パターン

行動パターンとしては小学校へ登校して自宅に帰るのが基本となっている。たまに余暇時間を利用して観光地に出かけたりショッピングをする子供を見ることができるが、非常にごくまれ。基本は学校と自宅の往復となっている。
学校へは毎朝8時ぐらいから一斉に通学し始めるが、到着までにかかる時間が家の場所によって異なる。学校から遠い家だと昼ぐらいに到着することもある。学校に到着した時点から6~8時間後に下校するので、家が近い生徒は14時に下校し遠い生徒は20時に下校することがあり、下校時間がバラバラになる。
おすすめの公共交通

学校と住宅区を結ぶ公共交通が必要。子供は移動コストを重視するのでチケット代金は無料の方が良い。また、利用人数は少ないがなるべく全ての住宅地をカバーする必要があることを考えると、あまり維持費がかかるものは使用できない。上記のことを踏まえると、学校と住宅地を結ぶ公共交通はバスがおすすめ。
バスは1台あたりの維持費が非常に安いため、チケット代を無料にしても都市経営に大きな影響を与えない。簡単に広範囲をカバーすることもでき、バス停を増設することで新しい住宅区もカバーできる。車両スピードが遅いのがネックだが、子供の年齢層は時間がかかるのを気にしないため問題ない。
10代用経路選択AI

移動コストを最も優先するAI。
子供の経路選択AIと同じでなるべく安い経路を選択し、無料の公共交通があれば積極的に利用する。ただし、子供とは違い安全性よりは移動時間の短縮を優先するので、状況によっては横断歩道が無いところで横断したり線路脇を歩いたりなど危険な経路を選択することもある。
行動パターン

行動パターンとしては職場・学校へ行って自宅へ帰るのが基本となっている。
学校に行く場合は朝8時ぐらいから高校・大学に登校を始め、到着から4時間~6時間勉強しその後帰宅する。職場へ行く場合にも朝8時に出勤することが多いが、2割ほどの職員は深夜の2時から出勤を始める。
ショッピングや観光地に出かける行動をすることもあるが、確率は低めになっている。これは、ショッピングや観光は資産が裕福なほど発生しやすい行動となっており、10代の学生は資産が乏しいことが影響している。また働いていたとしても、10代で働いているということは学歴が低い場合がほとんどで、給料があまり高くないことにも起因している。
おすすめの公共交通

10代の行動パターンから、住宅区・高校をつなぐ経路と住宅・職場を繋ぐ公共交通機関が必要となる。10代の年齢層が移動コストを重視する点から、チケット代は無料にしよう。
住宅・高校を繋ぐ公共交通は、高校が町の外れにある場合にはバスがおすすめ。高校は建物自体がかなり大きく、街中に建てるのが難しい。街中にある利点も少ないので、高校は町の外れに建てることが多い。この場合には利用客が高校生だけになるので、バスの乗車可能人数が少ないという欠点も問題なくなる。
ただし、高校が街中にある場合や高校周辺に商業区がある場合には路面電車か地下鉄をすすめる。これば、高校生だけでなくショッピングをする市民も利用するようになってしまうため。チケット代を無料にしていることもあり、利用客がかなり増加しバスでは乗車可能人数が足りなくなる。チケット代を上げれば10代の市民は利用しなくなってしまうので、対応が難しい。
大人

移動時間を最も重視するAI。
移動コスト・安全性はあまり考慮されない傾向にあり、多少お金がかかっても多少交通ルールを無視しても早く到着できるように経路を決める。最も移動時間が短くなりやすいのが自家用車とタクシーなので、自家用車やタクシーを利用するよりも早く到着できる場合のみ公共交通を使う。適当なルートで公共交通の路線を引いてしまうと大抵の場合は車の方が早く到着できる。そのため公共交通の利用率を上げるのが非常に難しい年代。しかも人口の約半分が大人なので、今作で公共交通の利用率を上げるのが難しい原因の一つとなっている。
行動パターン

職場・観光・ショッピングなど様々な行動パターンをまんべんなく取る。確率は低いが大人が学生になるパターンもあるため、場合によっては通学することもある。
これらの行動は連続して行われることもあり、職場の帰りにショッピングに寄ったり観光をしたりすることもある。ただしこの複数回行動するパターンはあまり発生せず、一定以上の余暇時間と資産がある市民にのみ起こる。
おすすめの公共交通

最も頻繁に出かけるのは職場とショッピング(商業施設)。そのため、住宅地と商業施設・住宅と職場を繋ぐ公共交通機関が必要。チケット代は高くてもそこまで利用率が落ちないので、都市の経営が安定するまでは無料にしない方がよい。
住宅地と商業施設を繋ぐ公共交通には乗車可能人数が多い地下鉄が最もおすすめ。これは大人以外も利用することが多く、商業施設に来る人数が非常に多くなりやすいため。バスや路面電車では乗車可能人数足りず、キャパオーバーになりやすい。
住宅と職場を結ぶ場合には、地下鉄・バス・路面電車がおすすめ。とにかく高速で職場に到達できるよう、最短を結べる公共交通を選ぶとよい。最短で結べない場合には自家用車の方が優先されてしまい、公共交通の利用率が極端に下がってしまう。利用者はそこまで多くないので乗車可能人数についてはあまり気にする必要がない。
実は、一度に出かけることができる人数がある程度制限されており、職場には8時間程度滞在するのに対し、ショッピングは1時間程度しか商業施設に滞在しない。そのため、職場を行き来する人は少なくなりやすく、商業施設を行き来する人が多くなりやすい。
高齢者

高齢者は快適性を最も重視する。
快適性は公共交通の停車地によって一定であり、一部アップグレード・従業員の幸福度・サービス予算によってのみ数値を改善できる。飛行機・地下鉄・鉄道が高い傾向にあるので、高齢者も利用率が高くなる。
快適性が同じ場合は、歩行距離が短い方が選択されやすい。そのため、乗り換えが短距離で行えると高齢者の利用率が上がる。
行動パターン

ショッピングのため商業施設に出かけるパターンや都市外部に旅行に出かけるパターンが最も多い。観光地や公園に行くこともあるが、頻度はかなり少ない。また、そもそもの出かける頻度が他の年齢層と比べて極端に少ない。ほとんどの高齢者が家で暇つぶしをしている。
おすすめ公共交通

都市外部に出かけるための空港がおすすめ。空港の快適性を上げるアップグレードをすることでる擁立をさらに高めることができる。ただ、高齢者の割合が少ないことと、そもそも高齢者がこのゲームでは出不精なため、実感できるほど効果が得られるかは微妙。
コメント
今作の自動車の経路選択、前作と比べて道路の制限速度をあまり重視しない気がします。高速道路より下道を使ったり、距離が短ければ平気で30km/h制限の路地を選択するようなのでロードヒエラルキーがうまく機能しない場面がいくつか見受けられるように感じますがどうでしょう?
おっしゃる通りかと。経路選択において速度制限と道のりの距離はあまり重要な要素ではなくなってしまいました。今作では経路の快適性(危険性)・必要な時間・金額が天秤にかけられています。他にも急カーブの有無・Uターン・渋滞・天候など他にも様々な要因が経路の選択に影響しています。それに加えてAIのランダム性と一定数は通行制限を無視する仕様が合わさり、優先順位を制御するのはかなり難しいですね。